【「生きる力」って何なの?】学校の理科教育で育む「生きる力」を考える|大学生のブログ|理科教育
サイの部屋
1994年生まれのコナン君が,IOTにも詳しいということで,コナン君のようにいつまでも謙虚に勉強していきたいと思ったサイです。
今回は,教育業界を騒がしている「ゆたぼん」に関する内容です。
先日もこのような記事が出るなど,いまだに日本人の注目があるみたいですね。
ゆたぼん関連の話題でよく「生きる力」というものが取り上げられていますね。「学校では「生きる力」を育むことはできないから,ホームスクーリングはアリです!」といった意見がTwitterでは多く見られます。
今回は,特に理科教育の分野で,いわゆる「生きる力」がどのように育まれるのかを名古屋大学教授 戸田山和久先生の『「科学的思考」のレッスン』をもとに紹介したいと思います。
=科学とはどんな学問か=
色々と説明するにあたり,どうも「科学とは何者か?」を考える必要がありそうです。
科学とは,真理に対してより確かそうな理論(仮説)を考える学問です。つまり,複数の予想からどうもあってそうなものを探す学問であると言えます。
黒と白のように2分化できるものではなく,黒とグレーゾーンと白から成るものです。
では,ここで少し立ち止まって,周りを見てみましょう。
「あれあれ~?」
世の中のものは,はっきりと区別できない問題に溢れていませんか?どうも,シロクロはっきりできない,正解のない問題に溢れている気がします。
ここから僕は,科学で培われる能力(科学を考える姿勢)は,普段の生活でも活用できるのではないかと思います。
=科学的思考=
文部科学省の学習指導要領によると,学校の理科教育では,「科学的な見方・考え方」「科学的に探究する基礎と態度」を育むことが,教科の目標とされています。
つまり,科学で培う能力には「科学的思考力」というものを考えることができそうです。
今回は,数ある「科学的思考」のなかでも特に「検証」を考えたいと思います。「検証」とは,「仮説」を確かめる作業ですね。
4枚カード問題という心理学界では有名な問題があります。
E C 25 16
上に示した文字と数字が書かれた4枚のカードがあったとします。それぞれのカードは,片面が文字で,もう片面が数字となっています。ここで「もし片面に母音が書いてあるとき,必ずその裏には奇数が書いてある」を示すには,最少でどのカードをめくればよいでしょうか?
「E」のカードをめくる選択は容易につくと思います。しかし,もう1枚あります...
そう!「16」のカードです。
これを科学で置き換えてみます。「もし片面に母音が書いてあるとき,必ずその裏には奇数が書いてある」は,科学では「仮説」にあたり,「カードをめくる作業」は「検証」にあたります。理科教育では,「検証」は観察・実験によって行われることが多いですね。
「Eのカードをめくる検証」は,自分の仮説に当てはまる条件です。「俺の仮説通りなら,Eという母音のカードをめくると奇数があるはずだ」という考えのもと検証していますよね?
しかし,「16のカードをめくる検証」というのは,自分の仮説に反する条件です。「もし,16という偶数の裏が母音なら,俺の仮説は外れるな...」と考えながら検証するのですから。
自分の仮説に当てはまる条件を「検証条件」といい,自分の仮説に反する条件を「反証条件」と言います。
この問題では,多くの人が「検証条件」しか考えません。「Eのカードをめくる検証」しか思いつかないわけです。しかし,本当に自分の仮説が正しいかを考える際は,「反証条件」を考える必要があります。
これを,実際の生活に当てはめてみましょう。「事業を行ったが失敗した。」「○○ちゃんに嫌われた。」といったさまざまな場面で,人間は仮説を立てます。「○○が原因で△△なのか」というようにです。
しかし,ここで検証条件のみを考慮していると,その考えは1歩も前には進みません、「確証バイアス」という言葉がありますね。「こうじゃないかな」と思ったら,それを確かめる例ばかりを探すことです。Twitter民とかに多いいやつです。
これは,「検証」における「科学的思考力」のなさを端的に表した事例です。
=生きる力と学校教育=
今回紹介した「検証」とは,あくまでも例の1つであり,「検証」で得られる「科学的思考力」は,こんなものではありません。
また,科学は「検証」だけで成り立っているわけではないので,学べることはそれ以上でしょう。
「検証」の「検証条件」と「反証条件」でさえ,幅広く実生活に活かすことができ,社会で生きるための力となります。
これを学べる授業を作れているか?は教員や学校の問題であると思います。少なくとも,日本の学校教育の目標からは,学校教育が「十分すぎるほど」生きる力を育むことができると示していると思いました。
以上でーす!!